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動的平衡の記録
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思えば上杉氏の本を読んだのは初めてです。

3.11以降深夜に行われる、「東電記者会見」で熱い質問をぶつけている人。
ニコ生で見ていると、コメントが流れる「上杉あついな」「がんばれ上杉」etc
後姿しか見えないけれど、それで名前を覚えた。
その後自由報道協会の暫定代表ということがわかり、上原先生の記者会見や
鳩山勉強会などで顔を覚えました。

それまでフリーのジャーナリストで記事や著作を読んでいたのは神保哲生氏だけだったので
この3.11以降多くのフリーの方の発言に注目するようになりました。

政治に関しては「今更聞けない」ことも多い私としては非常にわかりやすかったです。
「原子力行政」とは何か?
「原発報道」とは何か?
「事業仕分け」とは何か?
「予算編成」とは何か?
「特別会計」とは何か?
「外国人参政権」は与えるべきか?
「NHK受信料」は払うべきか?

ポイントを簡潔に解説してくれるので、
こんがらがっていた部分を解きほぐしてわからせてくれます。
公民の副読本にしたいですね。

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私の韓国への認識に目を開かせてくれた呉善花さんの新刊本が5月に出ていました。

震災後の本だったので、どんなことが書かれているかと思ったのですが、
内容は彼女が日本文化に触れて様々に感じて、そのルーツとなる日本的精神の
ありかたを模索してきたその考察を書いたものです。

まえがきに、原稿を仕上げ読み直していたときに震災が起きた、とあるので
震災後に新たに書かれたものではありませんでした。
しかし、彼女は非常に深く日本文化を愛しており、そこかしこに日本の独自性を
見せてくれるので、久しぶりにホッとしました。

ドナルド・キーン氏もそうですが、海外の方の目を通して初めて知るということも多く、
こういった方々の本を読むと、日本文化の良いところが浮き彫りになって
逆に海外とはこうも認識が違うのか!と唖然とすることもしばしばです。
その筆頭が震災時の略奪がなかったこと、ですね。
これを言うと日本にも略奪はあったという方がいますが、基本海外の略奪は
軍隊が鎮圧するような大規模なものです。
日本であったのは、窃盗、空き巣、引ったくりというようなもの。
また、津波で流された金庫が持ち主に返されたりすることも
海外からすれば、信じられないことのようです。

そして、自然への認識の仕方…日本人は自然と自分を一体化している。
その視点は、遠く石器時代、縄文時代に育まれ原始的なアニミズムとなった。
さらに、大陸から新しい技術や文化が流入してくれば本来消えてゆく運命の
それらが、現代人にまで引継がれている、それはなぜなのか?

島国である日本には大陸から様々な文化が流入してきても、
それらをゆっくりと消化吸収し自らのものとする時間的余裕があった。
その際に今までのものを否定するのではなく、融合という形をとった。
仏教も「日本仏教」となり、政治の律令制等もお手本は大陸にありながら
日本に向かないと思った科挙制度や宦官は採用しなかった。
ともすれば「いいとこ取りのツギハギ」と見られがちだが、
実はそれこそが日本の独自性の表出である。
漢字を使いつつオリジナルのひらがなカタカナを作ってしまう。
そして世界に類を見ない、表音文字と表意文字の両方を使うようになった。

日本人は「ただしく生きる」ことよりも「美しく生きる」ことに重きを置く。
悪人と言われるよりも卑怯者と言われるほうが屈辱だ。
そういった日本独特の美意識というべきものをすくい出して見せてくれます。

数年前に話題になった「文明の衝突」でも、日本は一国で「日本文明圏」を作っている
という表現がありました。
中華文明圏に属しているように見えながら、世界のどこともつながっていない、と。

著者の呉善花氏は現在は日本に帰化しており、日本人です。
彼女は縄文文化の精神性が日本文化の最古層に横たわっているといい、
その上に農耕アジア的な精神性が重なり、さらに明治以後
西欧の近代的な精神性が重なるという多層構造をもっていると…。
ここでもキーワードは縄文ですよ!

彼女の著作はほとんど読んでいるので、かなり重複する部分もありましたが
ちょっと元気が出た気がします。

もんじゅ君オススメ本です。

生物学に興味を持った頃、この柳澤桂子氏と中村桂子氏の本を読み漁っていました。
当時ご病気だった柳澤氏はだんだん宗教へ傾倒するようになっていき、
しばらく読んでいませんでした。図らずもお二人とも「桂子」、不思議な感じがしました。
中村桂子氏はNHK市民大学などの講義もあり、コンスタントに著作を読んでいました。

この文庫は1988年に発行されたものをもとに大幅に足された内容になっています。
当時はチェルノブイリ事故について書かれた物でありますが、
その後の東海村の事故などにも言及されています。
分子生物学者としての目線から、放射能がDNAにどのような損傷をもたらすのか
平板な言葉でわかりやすく書いてくださってます。

癌細胞の分裂には免疫細胞との戦いがあり、一塊の癌細胞として発見されるまでには
何十年もかかるということ。
分裂していない細胞ではDNAはたたまれて小さくなっているため放射線の影響を受けにくいが盛んに細胞分裂しているものはDNAは長く伸びて半分に分かれそれぞれが複製を作る作業をしている、その時ほど放射線の作用を受けやすい。たたまれたテープを切るより伸ばしたテープを切るほうがずっと簡単です。
したがって盛んに細胞分裂しているところほど放射線に弱いということになります。
大人では骨髄などです。それが白血病になったりします。
子どもでは事態はもっと深刻です。
大人の生殖細胞がDNAの損傷を受けると、その損傷は子どもの身体を作るすべての細胞にコピーされていきます。重大なミスであれば生まれてくることができません。
胚や胎児に対する放射線の影響は、受精後どの時期に放射線を浴びるかで違ってきます。

また海産物などの濃縮係数なども表になっており、非常にわかりやすいです。

そしてやはり核分裂生成物のこと。このどう処理するかもわからない核のごみ、
未来への負の遺産を作り続けている恐ろしさ。
強い意志を持って原発は必要ない、と説いています。

たくさんの人が警告を発していたにもかかわらず、警告されていた通りの事態が
現在起きてしまっているという苦い気持ちにもなりました。

解説には先ごろ閉鎖された英セラフィールド再処理工場の海への汚染資料も載っています。
東電が唯一の顧客だったセラフィールド再処理工場は、
欧州各国ではすでにプルサーマル事業から撤退していたことを物語っています。
そしてここで再処理されたガラス固化体が現在海を渡って日本へと向かっています。
これは六ヶ所村へ運ばれるのでしょうか?
いずれにしても、処理の定まらない核のごみが日本中にたくさんあるということです。

以前ブログで紹介した藤波心さんの
「私たちは原発によって支えられていたんじゃなく、
何も知らない私たちが原発を支えていたんだと思う。」
というツイートを思い出します。

「原発社会からの離脱 宮台真司×飯田哲也」 講談社現代新書
もんじゅ君おすすめの本からです。

非常にわかりやすく原子力の歴史を紐解いてくれます。
飯田氏の自伝のように感じる部分もあり、それがまた興味深い。
原子力を目指し、原子力ムラで仕事をし、何に疑問を抱き、
どうして自然エネルギーへと向かったのか。
スウェーデンでの研究の経験、高木仁三郎との出会い、
尊敬はしているけれども原子力ムラの構造も知ってしまっているので
彼のやり方では原子力ムラは変わらないという実感。

欧州の自然エネルギー政策はチェルノブイリがきっかけになっているが、
その導入方法は各国によりかなりの違いがあり、それぞれの国の特徴が出ている。

先日のニコ生で宮台氏の言われていた、共同体自治の話も出てきます。
ヨーロッパでできる市民社会の政治参加がなぜ日本では正常に機能しないのか。

これについては5年ほど前に「平らな国デンマーク」高田ケラー有子著を読んで
衝撃を受けていましたので、すんなりと納得。
高福祉、高税率、のデンマークがなぜ幸福度が高いのか、市民の政治への関心と監視の高さ。自分たちの納めている税金がどのように使われるかに常にチェック機能が働いている。
さらにNHKの特集でのフレキシブルな法律の変更や条令の成立、
たとえば育児休暇は夫婦が1日置きにとる事ができるため夫婦共働きでも
仕事を辞める必要がなく、どちらも仕事を継続できる、等々。
それに対しての政治家の言葉が「私たちの生活をより幸福にするために行っているのです」
衝撃でした。こんなことを言う政治家は日本には永久に現れないだろうという
一種絶望にも似たものを感じた記憶があります。
人間のレベルが違うというか…。

日本は歴史的に市民が政治に強い関心を持ったことがあまりないのではないでしょうか。
開国以前はお上による統治で政治はおまかせだったし、
開国期に多少あったかもしれないが、ある程度の知識階層に限られていました。
サラリーマンは所得税が給与から既に引かれているので、やはりおまかせ感が強そう。
確定申告自分でする人は収入が他にもある人くらいでしょう。
ほとんどは年末調整でおまかせです。
税金に関しては日本では「とられている」という意識が強い。
自分たちのために納めて、使用方法をチェックする、と考えている割合はどれくらいだろう。
私自身ノンポリ(死語)で流されて生きてきました。反省中です。

宮台氏の言う「共同体自治」とはそういった行政への関心を市民が自ら持ち続けることを
指しているのだと思います。が、これは結構大変なことです。
地域社会の結びつきを深くし、共同体の力をつけていかなければ
今回の事故を教訓にしたシステムの変更はできない、ということ。
結局原子力が自然エネルギーに変わっただけで、そこにまた利権が発生してしまう。
構造自体を変化させなければならない、ということだと思います。

ただ、電力の問題ではない、社会構造を変えていかなくてはならない。
その覚悟が必要だと説いています。

「平らな国デンマーク」はJMMのエッセイでしたので以下で読むことができます。↓
http://www.jmm.co.jp/dynamic/report/title2_1.html

管首相支持のユニークな記事がありましたので↓この視点も大切かと。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/16313

もんじゅ君おすすめ本の1冊です。
図書館にありました。岩波ブックレットNo.802

薄くてわかりやすいです。全63P。

初版は2011年2月8日、手元にあるのは4月26日発行の第3刷。
中程に「2刷にあたって」という文章がある。

『本書の初版が刊行されてから一ヵ月後の2011年3月11日、東日本大震災が勃発し、東北地方太平洋沿岸の原子力発電所に大被害を与えた。中でも福島第一原発1~4号機は大破し、大量の放射能を大気中・海中に垂れ流している。この福島原発震災は、世界的に見ても前代未聞の「同時多発原発事故」であり、炉心および冷却プールでの核燃料の損傷・溶融が同時多発的に起こった。今(2011年4月6日現在)も原子炉が大破壊へと移行する危険は去っていない。
この原発震災の処理には、原子炉の解体・撤去だけでなく、広大な汚染地帯の除染も含め、数十年の歳月と数十兆円の費用がかかるとみられる。これは原子力発電コストを約2倍に押し上げる。数十万人の被曝要員が必要となるかもしれない。原発はクリーンだという言葉はブラックジョークと化した。復旧のための人的・金銭的負担は子孫にも及ぶ。今後数年間は首都圏を含む東京電力管内で深刻な電力不足が続くであろう。原発に依存し過ぎる電力供給システムの安定供給特性の劣悪さが露呈した。筆者は「人類は核とは共存できない」という立場をとってこなかったが、今回の震災をふまえて原発の総合評価のバランスシートをみれば、日本は脱原発に向けて舵を切るのが賢明だと思われる。』

本書では政府の手厚い保護を受け続ける原子力事業を、利益は電力会社へ、リスクは国民への問題点を説き経済的コスト・リスクの肩代わりを根こそぎ廃止すべきである、という。
実際は廃止される前にこの震災が起きてしまったために、現状大混乱となっています。

世界の原発事業も停滞か縮小を余儀なくされています。
安全性の確保のために、予算がどんどんと膨れ上がり、建設計画が一向に進まないケースが続出している。着手したものの途中で頓挫することも多いよう。
日本も原発の輸出を始めようとしていたが、この事故でどうなるか未知数でしょう。
仮に受注できたとして、事故の際の補償など考えると今度は福島どころの問題ではすまなくなるでしょう。

著者は旧皇族の竹田家の生まれで、明治天皇の玄孫にあたる。

たまたま今年1月に、辛酸なめこ氏との共著「皇室へのソボクなギモン」を読んで面白かったので、続けて「語られなかった皇族たちの真実」「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」を読みました。
どれも非常に面白く、天皇制についても深く考えたことなどほとんどなかったにもかかわらず素直に読めて、いろいろ考えさせられました。
その竹田氏が脱原発の本を出したとあっては気にならないはずがありません。

その生まれから皇統保守であり、自ら「竹田研究会」を主催し古事記の研究をされている。
が、高校時代のディベートでインハイに出場した時のテーマが「日本国政府は原子力発電を禁止すべきである」だったという。このテーマにそって是か非かを討論するために推進派と反対派の本を大量に読破しその結果原発は日本にふさわしくないとの結論に至ったそうです。
筋金入りの反原発派であり市民活動の経験も長い。
そして「保守=原発推進」「左翼=原発反対」のいびつな構造にふれ、保守であっても、いや保守だからこそ原発は認めることができないという。
本書のデータはすべて推進派が使用しているデータを元にしている。
原発の嘘を推進派のデータをもとに暴いてゆき、著者のふさわしくないという理由について語られる。

原発が日本にふさわしくないという理由
①原発の安全は労働者の死に支えられている
野宿者が放射性物質の雑巾拭きをやらされている実態を知って、学生時代にドヤ街で聞き取り調査をした。その実態は原発が年に一度の定期点検に入ると、まず最初の「除染」作業を野宿者にやらせる。雑巾で人が入れる程度にまで放射線をふき取る作業だ。そして線量が下がってから技術者が入る。毎年8万人ほどの被曝作業員がおり、そのうち社員は1万人以下である。

②国土が失われた
ひとたび事故を起こせば土地が永遠に使えなくなる。チェルノブイリの10分の1は広島型原爆50発分に当たる量だ。福島原発周辺は向こう数万年は土地を利用することができなくなった。
数万年というのは歴史的尺度からいえば永遠と同じだ。尖閣諸島も北方四島もいずれ解決する日がくるかもしれない。しかし放射能で汚染された土地は取り返したり復帰することが基本的にできない。未来永劫使えないものにしてしまった。

③原子力は神の領域を冒すもの
原子力が人間の手に負えないものであることは、高レベルの放射性廃棄物の処理問題を考えれば納得できるだろう。最短でも1万年以上、地下水から隔離した状態で保管する必要がある。
にもかかわらず最終処分場は決まっていない。半減期の極めて長いものも含まれるとなると100万年の保管が必要になる。いったい誰がその管理をするのか、経費は誰が払うのか、1万年も続いた組織など人類史にはない。

あとがきで著者はこうかいています。
抜粋
「私は本書で、原発による利益があったとしても、原発があることにより生じる不利益はあまりに大きく、いかなる利益によっても正当化されないという立場に立ち、その理由の詳細を説明してきた。(中略)本書を執筆するに当たり、特に保守の価値観を持つ人が否定できないように立論してきたつもりだ。したがって、保守の人が私の反原発論を否定すると、何かおかしくなるようになっている。(後略)」

ぜひとも保守の方々に読んでもらいたい本です。

図書館で借りました。
初版が1982年でした。ということはチェルノブイリ前なんですね。
このお話は核戦争を描いたものなので、東西冷戦の緊張感の中で書かれたものなのでしょう。「絵本」を想像していたらまったく違うものでした。
これはフランスの「バンド・デシネ」のようなコマ割のマンガです。
イギリスにもこういう形態のものがあったんだと知りました。
コマが小さくふきだしも小さいので読むのにはちょっと大変です。

しかし、素朴な夫婦の日常がつづられているのは映画と変わりません。
丸顔の平凡な夫婦が被曝していく中でどんどんやつれ、
変化していくのが、動画よりも強烈かもしれません。
先に動画を見ているのでなんともいえないのですが、
この夫婦は最後まで政府が救援隊を送って自分たちを助けてくれる、
と信じていたように思います。
動画でのコメントでは「ダメだと解ってるが、あえて元気付けようとしている」
という解釈の人もいましたが、絵本ではそうではないと感じます。

村上春樹氏のスピーチに「自ら地獄の蓋を開けてしまった」というような部分が
ありましたが、まさに今現実にこれらが進行中の日本を思うと
ただ、罪深く愚かしい事態になっているということを実感するだけで精一杯です。

今回の原発事故で農家を廃業することにしたいわき市の方のブログです。
農家の婿のブログ
http://ameblo.jp/noukanomuko/

くやしい胸のうちが伝わってきます。そして行政の無責任な対応も…。



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